曹洞宗撃鼓山
法輪寺
〒646-0033
和歌山県
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法輪寺 滝内分院
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和歌山県
田辺市たきない町4-36
福杓観世音菩薩
法輪寺 福杓観世音菩薩
福杓守と福杓観音

 福杓守は
大慈大悲福寿杓守護なり
福聚守護の尊器なり
大慈悲父母の守護尊器なり

福徳円満・子孫長久
万民和楽・至徳千祥
福杓守護也

そもそも「福杓守」が世にあらわれるについては、大本山永平寺開山道元禅師の「半杓訓」に有因し、深淵なる教義の堂奥により智水を汲み出さんとする向上心が基をなすものであります
いわゆる大本山永平寺は日本曹洞禅の初祖道元禅師によって開かれたのでありますから、祖山永平寺は日本曹洞禅の源であり、常に法泉が渾湧する源泉であります。
この源泉より湧き出づる法泉の唯一滴の清水なりとも、流れ流れて万派となり世の常の流れと違って、あまねく天下四方を貫き流れて大海に入り、宇宙法界に充満し、仏智海に回帰して行くのであります。
すなわち、源泉より流出し来たった正法の一滴水を、正しく汲み嗣がれ、受け嗣がれた正法(正伝の仏法)の尊い法水の一滴一滴は、強力で超普遍的で、万物の生命を活かす清浄なる活性水なのであります。この清浄法性水は、仏陀釈尊の広大なる大慈大悲の智水(般若水)なのであります。
この仏智水を汲み戴いて向上の活力を生み、世界万民を利益して、大衆和楽を願うとき「半杓訓」の偉徳 を追慕し、示された「杓底の一残水、流れを汲む千億の人」の慈誡をことさら良薬の如く味わいを深くするのであります。
この有縁によって、「自未得度先度他」を願う心が菩薩の行願に導かれ、大慈大悲の源泉より湧き出づる仏智水を汲み掬う「福杓守」を世に出現し得るに至ったのであります。
「福杓守」を頂戴奉行して、祖に献ずれば報恩行。児孫これを受くれば幸い多く。世に広むれば和楽を生ず。

      慈ヲ以テ福ヲ汲ミ       慈悲円融シテ苦楽ヲ
   所謂             是即
      悲ヲ以テ苦ヲ救ウ       掬ウ抜苦与楽ナリ

 と感得し、ひたすら大慈大悲の應現を信じ、禮拝恭敬、端坐参禅、調身調息、声明禮拝を行取し、福祷し感應道交示現
し給うたのであります。感應道交示現し給う浄聖は手に『福杓守』を持つ御姿にて應現致されたのであります。
   調身調息=『即性應現』。 声明禮拝=『即称示現』
   調身調息、声明禮拝=『神通修證、即證現身』
『南無 大慈大悲 廣大霊感 感應應現 観世音菩薩』の尊称は
『大慈大悲 廣大霊感 福寿杓守護 観世音菩薩』と頌(たた)え、
『大慈大悲 福杓観世音菩薩』と称(とな)え、
『廣大霊感 福杓観世音菩薩』と称し
親しく『福杓観音菩薩』と唱し、
『福杓観音』と申し奉るのであります。
 『福杓観音』は慈を以って福を汲み、悲を以って苦を掬い、慈悲円融して苦楽を救いて、抜苦与楽し給う浄聖であります。
 故に、『福杓観音』より『福杓守』を頂戴拝受して、祖に献ずれば報恩行となり、児孫これを受くれば幸い多く、世に
広むれば和楽を生ずるのであります。
乞い願くは、大慈大悲哀愍攝受、生生世世値遇頂戴。

                       吉川 圓良(大貫 圓良)  識
 法輪寺本堂前 福杓観世音菩薩
 
 
ふくしゃく 
福杓観世音菩薩由来


 曹洞宗大本山永平寺正門に当たる龍門のところに『杓底の一残水 流れを汲む千億の人』と刻まれた門柱があります。これはその昔、ご開山の道元禅師が手をお洗いになった折り、残った半杓の水をそっと流れに戻されたと言う故事を顕彰して建てられたものです。
 大本山永平寺は、1244年日本曹洞禅初祖道元禅師によって開創されました。
道元禅師はその開堂法語で『天上天下当処永平』と喝破されています。天上天下どこであれ只管打坐(真実の座禅)を修行するその処こそ『永平寺』なのだと言う、懇切丁寧なお示しであります。このご教訓の遺徳を正しく汲み取る事ができるよう、手に柄杓を携えたお姿の仏さまが誕生致しました。名付けて福杓観世音菩薩と申します。
 観音さまのお働きのありさまを記したお経が観世音菩薩普門品です。このお経の中に、観音さまがお働きになるご様子が『即現身而為説法』と言う簡潔な言葉で示されています。私たちの苦悩や悲しみと同じ身を現じて救って下さると言うのです。詰まり、私たち人間のその時々の苦しみや悲しみまたは願いを聞き届けて下さるために、観音さまは自由自在に変身なさって解決の道をお示しになるのです。
 福杓観世音菩薩は、永平道元禅師を源とする豊かな正法の法泉をしっかりと汲み取る事ができるよう、私たちにお示し下さるために今ここにお生まれになりました。この観音さまの容姿は大変美しく、じっと見ているだけで心が洗われるような気がします。そして人生のどんな苦難にも立ち向かう勇猛心を備えながらも、あらゆる人々を救ってくださる慈愛に満ちたお姿が特徴です。
 いま私たちが『南無 大慈大悲 廣大霊感 福杓観世音菩薩』と一心に御名を称えるとき、即時にその苦しみや悩みを聞き分けて下さいます。何ゆえなれば、世音を観じて下さるのが観世音菩薩なのですから。

  福杓十句観音経

 福杓観世音  南無仏  與仏有因  與仏有縁
 仏法僧縁  常楽我浄  朝念観世音
 暮念観世音  念念従心起  念念不離心
 
 滝内分院 福杓観世音菩薩
 
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